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病気を知る

緑内障

緑内障とは、一般に「あおそこひ」ともいわれ、眼圧が高くなる(眼球が固くなる)病気です。眼圧が高くなると圧力が眼の神経や血液のめぐりに悪い影響を与えて視神経が徐々に死んでいきます。死んでしまった視神経は回復しません。つまり進行すればいずれは失明してしまいます。従って、残っている生きた視神経を死なないように守らなければなりません。特に自覚症状のない場合が多いのですが、眼が疲れやすくなる、夜間、光のまわりに色のついた輪がみえる、時々、眼がかすむ、視野が狭くなる、などの症状がある場合は直ちに眼科の専門医の診察を受けてください。40才以上の人を検査すると100人に4人の割合で緑内障が発見され、しかもこの人達は自分が緑内障であることを少しも疑ったことのない人達が多いようです。

【どんな病気】

眼圧(=眼の圧力)が高くなると視神経が障害され萎縮*1)するため、視野が狭くなり、視力も低下していきます。
正常な眼圧は14mmHg前後ですが、緑内障の人は21mmHgを超えることが多く、眼球内部の高い圧力で構造的に弱い視神経乳頭が圧迫されるのが一番多い原因といわれています。ただし、この数値は平均値であるため、個人差があります。眼圧が25mmHgと高くても、それがその人にとって正常な眼圧であることもありますし、14mmHgでもその人にとっては眼圧が高く緑内障となることもあります。そういった点で診断も非常にむずかしい病気です。

最近は眼圧が正常値(10〜20mmHg)でも視神経が弱くて緑内障となる人がいることがわかってきて注目されています(正常眼圧緑内障)。
眼圧が高くなる原因は、房水が流れ出る機構に問題があります。房水は毛様体で産出され、後房から瞳孔を通って前房に入り、前房隅角から眼球の外へ排出されます。眼球内に入ってくる房水の量と出ていく量とが同じであれば眼圧は一定に保たれますが、前房隅角に異常があると房水がうまく排出されずに、前房や後房にたまりすぎ、眼圧が高くなります。
眼圧が高くなると、その影響は眼球壁すべてにおよびますが、強膜は強固なので、やわらかい角膜と視神経乳頭が被害を受けます。長い間視神経が圧迫されると神経は萎縮して、視野が狭くなったり、視力が低下したりします。そして一度狭くなった視野や悪くなった視力は回復しません。

緑内障は大きく分けて3つのタイプに分けられます。

  1. 原発緑内障:
    原因がはっきりしないものの総称で、中高年の人に多くみられ、緑内障の中でも最も多いタイプです。正常よりやや眼圧が高い状態が続いて、徐々に視野が狭くなり、視力も低下し最悪の場合は失明してしまいます。
  2. 続発緑内障:
    炎症やけがなど明らかな原因により起こる緑内障です。ぶどう膜炎や眼のけがなど眼に原因があるものの他、糖尿病による出血、他の病気の治療で使うステロイドホルモンの長期使用などがあります。
  3. 先天緑内障:
    前房隅角の形成異常が原因で、生後1年以内に発症するのがほとんどです。眼圧が高いため眼球自体が大きくなるので「牛眼」ともよばれています。角膜(くろ目)の直径も大きくなり、新生児で10.5mm以上、6ヵ月で11.5mm以上、1歳で12.5mm以上ある場合はこの病気を疑うべきです。また乳児でまぶしがる場合もこの病気の可能性があります。放置すれば失明してしまいますから、これも早期に治療(手術を含む)する必要があります。
    原発緑内障と続発緑内障は、房水の流れのつまり方により、さらに開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の2つのタイプに分けられます。
    開放隅角緑内障では、隅角の奥にある房水を濾過する線維柱帯が目づまりを起こし、産生された房水が眼球内に徐々にたまって眼圧を上昇させるので、本人の気付かないうちに視野が狭くなり、慢性に進行する病気です(慢性緑内障)。閉塞隅角緑内障では、虹彩と角膜の距離が近く隅角が塞がりやすく、眼圧が上昇します。完全に塞がると、急激に眼圧が上昇し急性緑内障発作を起こします。このタイプは、60歳以上の女性で遠視の人に多くみられます。
【どんな症状】

慢性緑内障はゆっくり進行するので、目立った自覚症状はなく、気付いた時にはかなり進行していて視野や視力がかなり障害されていたということも少なくありません。急性緑内障の場合は急に眼圧が上がるため、頭痛、眼痛が激しく、吐き気があり、吐く事もあります。視力は低下し,白目は充血のため赤くなります。吐き気があるため内科に通院を続けそれから眼科へ来て治療が遅れたということも実際にあります。

【どんな検査】

緑内障を早期発見するためには、眼の定期検査受診が大切です。
定期検査の種類は以下の4つがあります。

1.眼圧検査:
眼底検査
眼圧計で測定した眼圧が21mmHg以上を「高眼圧症」といいますが(眼圧が高いだけでは緑内障とは限らない)、緑内障になる危険性が高いので、年2回の眼圧・眼底検査は必要です。眼圧には、日内変動*2)と季節変動があります。診断のためと治療効果の判定のためには、いろいろな時間帯の眼圧を測ったり、片眼のみに治療を開始し、他眼の眼圧と比べることがあります。
2.眼底検査:
検眼鏡などで瞳孔から眼底の視神経の様子をみる検査です。緑内障の場合、視神経が萎縮して視神経乳頭の陥没がみられます。
緑内障の眼底
3.視野検査:
視野検査には、コンピュータで網膜の光に対する感度を測定(自動視野計)する静的視野検査と、ドーム状の装置を使い動く光がわかるとボタンを押して合図する動的視野検査の2つがあります。これで視野狭窄*3)がみられた場合、緑内障と診断されます。前者の検査のほうがより正確で早期に診断できます。後者の検査は、視野狭窄が進行した人や、自動視野計の測定が難しい人のときに、より有効です。
4.隅角検査:
隅角鏡というコンタクトレンズを、角膜にあてて観察します。隅角の広さによって4-5段階に分類されます。
【どんな治療】

いったん障害を受け萎縮した視神経と、それに対応する視野は回復できませんが、眼圧を十分に下げて視神経を保護することで進行を防ぐことが出来ます。眼圧コントロールは点眼薬や内服薬で行います。薬で眼圧を制御できない場合、次の外科的治療を行います。

■ 開放隅角緑内障・正常眼圧緑内障の場合
  1. レーザー治療:レーザー線維柱帯形成術
  2. 外科的手術:線維柱帯切除術と線維柱帯切開術。時に手術効 果を上げるために、抗ガン剤(マイトマイシン)の局所注射を併用します。最近、両者の欠点を補うような新しい術式が数多く発表されていますが、評価が固まるにはもう少し時間が必要です。十分に説明を聞いておくことがよいでしょう。
緑内障の治療
■ 閉塞隅角緑内障の場合
  1. レーザー虹彩切開術(発作後と予防目的)または周辺虹彩切除術
  2. 隅角癒着解離術(慢性のタイプ)
レーザー虹彩切開術
■ 薬の種類

[1]点眼
β遮断薬  1〜2回/日 1回1〜2滴
プロスタグランジン製剤 1〜2回/日 1回1〜2滴
炭酸脱水素酵素阻害薬 2〜3回/日 1回1〜2滴
ピロカルピン 4〜5回/日 1回1〜2滴

[2]内服
ダイアモックス   500mg/回
※ダイアモックス服用により、体内のK+イオンが失われますので、電解質*4)のバランスを保つために、アスパラK(K+製剤)を同時に服用します。
ビタミンB 12 ※傷んだ視神経の修復作用があります。
循環改善薬 ※循環障害が原因と考えられる場合に使われます。

【どんな予防法】

緑内障は、早期発見早期治療を行えば大事に至る事はありませんが、一度患ってしまうと「治る」ということもありません。眼科医と一生付き合っていかなければならない病気です。眼圧を上手にコントロールする為には医師の指示通りに点眼をして、定期的に検査を受けましょう。
日常生活では、コーヒー、アルコール類、お茶などの刺激物や水分の取りすぎに注意し、暗い所での作業や読書はなるべく控えて、目を疲れさせないようにしましょう。また、首を圧迫するような服装はなるべく避け、イライラしたりストレスを溜めないよう、睡眠を十分にとり、ゆったりとした生活を送ることも大切です。

*1)萎縮(いしゅく): 組織または臓器の体積が減少すること。機能が低下する状態も含む。

*2)日内変動(にちないへんどう): 症状や検査値が1日の中で午前中が強く午後に軽くなるなど、変化があること。

*3)狭窄(きょうさく): 狭まっていること。特に血管や器官などの内腔が狭くなる状態をいうことが多い。

*4)電解質(でんかいしつ): ナトリウムやカリウムなど、体液中に塩類やイオンとして溶けている物質。血液や組織液のバランスを保っている。